top of page

鳥取県ファムトリップ|2日目レポート


2022年7月に鳥取県智頭町で実施されたファムトリップに、メンバーの1人として参加してきました。


中国山地に位置する智頭町は400年以上前から植樹がはじまり、面積の93%を森林が占める林業のまちです。江戸時代には宿場町として栄えましたが、現在は6,500人の小さな田舎まちです。


この記事では2日間のファムトリップの2日目の内容をダイジェストで紹介しています。1日目の記事はこちらよりご覧いただけます。


 

2日目のテーマは地域にある「食まわり」のコンテンツ調査です。

地域にある食とその周辺のコンテンツをどう整理・発信するかという視点から、町内の複数のエリアをまわり調査しました。


1. 森林を活かした「森林セラピー」と「セラピー弁当」

2. モチをつくって水田を守る「五月田農産物加工場」

3. 天然酵母でつくるパンとビール「タルマーリー」


 


1. 森林を活かした「森林セラピー」と「セラピー弁当」



まず体験したのは、面積の93%を森林が占める智頭町の資源を活かした森林セラピーです。


ガイドさんの案内のもと森の中を2時間ほど歩きながら、深呼吸をしたりハンモックなどのアクティビティを楽しみながら、自然との触れ合いを通してカラダをメンテナンスするプログラムです。


食に特化したプログラムではありませんが、森の中に一歩足を踏み入れると、自生しているワラビやフタリシズカなどの山菜を見つけることができ、またヒノキの葉やクロモジの枝の香りを体験しながら、この地域の里山の豊かさを感じました。




森林セラピーを体験した後には、地域のおかあさんがつくる「セラピー弁当」をいただきます。



こちらのセラピー弁当は智頭町が定めた次の7つの誓いに基づいてつくられていますが、セラピー弁当という名称と内容の関連性がやや乏しく、また誓いの内容も良さそうなことを漫然と並べているように感じました。


  1. 食材品目数の八割以上を智頭町産の食材を使用すること

  2. 米は100%智頭町産であること

  3. 一食の総カロリーが600~800キロカロリーであること

  4. 一食の塩分は3.5グラム以下であること

  5. 旬の食材を入れること

  6. お品書きを付け、特徴やこだわり、思いを表現すること

  7. 愛情をたっぷり込めること


役場の担当者も「おいしさよりも健康を重視して」とお話されていましたが、おいしさと健康がトレードオフであるかのような認識も含めて、少しずつ改善提案をしていきたいと思います。




2. モチをつくって水田を守る「五月田農産物加工場」



続いて訪問したのは、五月田(ごがつでん)集落にある加工場です。もともと集落の水田を維持するために鈴原糯(すずはらもち)という餅米の生産をはじめ、それをお餅やかき餅に加工して販売されています。



この鈴原糯という品種は、ねばりがありのど越しも良く昔は人気でしたが、稲の丈が高く育つため倒れやすく、また収穫量も少なく栽培が難しいため、現在では全国的にも珍しい品種となっています。JAの推奨品種からも外れているため、この地域では自分たちで品種を守り継いで栽培を続けています。


そんな幻の鈴原糯を使った商品のお餅は、防腐剤などを使用しないため冬の間だけ製造し、正月シーズンを中心に毎年2トンほどの量を詰め合わせにして出荷されています。写真のチラシは前年のものですが、今年は一番人気の「しあわせセット」を予約したいと思います。




3. 天然酵母でつくるパンとビール「タルマーリー」



その後も町内で建設中の滞在型複合施設の視察などを経て、最後にお邪魔したのは地元で採れた天然酵母でパンやビールをつくる「タルマーリー」さんです。



代表の渡邉さんご夫妻は「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』タルマーリー発、新しい働き方と暮らし」(講談社)や「菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案」(ミシマ社)などの本を執筆され、地域のまちづくりにも積極的に携わっています。


この日は1号店でパンを買った後、帰りに2号店のカフェで休憩をしたのですが、そこでも渡邉さん夫妻に地域活動の相談をしている若い方々の姿を見かけました。こういう方がいる地域はきっとこれからどんどん面白くなっていくのでしょうね。



2日目のテーマである地域にある「食まわり」のコンテンツ調査では、地域にある資源を活用したり再整備する動きや、全国的に有名な地域との連携も含め、このエリアの可能性を感じました。


一方で食のコンテンツは「おいしさ・価格・体験など」の複数の変数の掛け算で評価され、どれか1つでも欠けるとそこに意識が引っ張られ、総合評価はぐんと下がってしまいます。


いまある資源を活かしながら、地域の食の価値を総合的に高めていけるように、引き続き情報提供をしていきたいと思います。


 

フードピクトでは、全国の宿泊施設や飲食店を対象にした講演や研修、自治体や観光協会を対象にしたファムトリップへの講師派遣やコンサルティングを提供をしています。ご相談・ご依頼は「お問合せ」より気軽にお寄せください。


Comments


bottom of page