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[事例4]特別な顧客体験を演出する|ノーマのシェアテーブル


 世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割記事はこちらで紹介した通り、食事が栄養補給から自己実現への手段へと変化するなか、消費者が食に求める役割は、主体的な選択、コミュニティへの帰属、パーパスの発見の3つに分けることができます。


 このうち「コミュニティへの帰属」をしたい消費者のニーズを満たしてくれる飲食店の事例には、どのようなものがあるでしょうか? 本記事では北欧デンマークにある noma (ノーマ) の取り組みを紹介します。



 

世界一のレストランnomaとは


 noma(以下「ノーマ」と記載)は、実業家のクラウス・マイヤーと料理人のレネ・レゼピがタッグを組み、2003年に北欧デンマークに開店したレストランです。

 

 店名はデンマーク語の「nordisk」(北欧の)と「mad」(料理)を組み合わせた造語で、北欧の食材と生産者に光を当てその文化を伝えることをコンセプトにしています。

 

 2010年には「世界のベストレストラン50」の1位*に選出され、2012年にはアメリカの雑誌「TIME」の世界で最も影響力のある100人にレネが選ばれたことから、食を目的にデンマークを訪れる旅行者は11%も増加したと言われています。

 

 現在ノーマは、ミシュランガイドで三つ星と、サステナビリティを積極的に推進しているレストランに与えられるグリーンスターを獲得しています。

 

 2023年3月には、日本では東京に続き2回目となるポップアップレストランを京都に開店。ひとりあたり12万を超える価格設定でありながら、販売開始からわずか3分でチケットが完売するほどの人気を誇ります。

 

 2023年1月には、レストランとしての営業を2024年末で終了し、2025年からは研究開発を主体にしながら世界各地でポップアップレストランを行うと発表し、世界を驚かせました。

 

このノーマを語る上で外せないのが、特別な顧客体験を演出するシェアテーブルの存在です。


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ノーマのシェアテーブル(引用:Photo: Rasmus Hjortshoj|World Architects|https://www.world-architects.com/ja/ architecture-news/works/noma-2-0)


ノーマの顧客体験 特別な食体験を演出するシェアテーブル


 ノーマには一般的なレストランにもある2人席や4人席の他に、シェアテーブル(Shared Table)という大きなテーブル席が用意されています。

 

 シェアテーブルはその日の予約状況に応じて、世界各国から訪れる4名から16名までのお客様が着席します。

 

 国や言葉が異なる見ず知らずの人同士がひとつの大きなテーブルを囲み、たのしい食体験を演出するために、どのような仕掛けが用意されているのでしょうか?

 

 その鍵を握るのは、よく訓練されたフレンドリーなホールスタッフです。

 

 例えば、シェアテーブルに座っているゲストのひとりが誕生日だった場合、一般的なレストランではそのゲストに対して特別なデザートが提供されますが、ノーマではシェアテーブルに大きなホールケーキが運ばれてきます。

 

 そしてホールスタッフによって指名された別のゲストが、この日シェアテーブルに座っている全員分を取り分け、みんなでお祝いをします。取り分けが下手で大きさがバラバラになってしまっても、それ自体が特別な思い出になります。

 

 シェアテーブルではおいしい料理とともに、この日ここでしか味わえない特別な食体験が、ファシリテーター役を務めるホールスタッフにより演出されています。



 

 株式会社フードピクトでは、ガストロノミーツーリズムやインバウンド対応に取り組んでいる観光・宿泊・飲食事業者に向けて、より良い食体験を届けるための事例集を毎年刊行しています。


 最新刊の事例集「Inclusive & Regenerative Gastronomy」は、2024年9月に書籍とPDFで販売予定です。書籍は資源保護のため初版100冊のみとなりますので、お早めにご予約・ご購入ください。なお2023年度の事例集「Expolore the Future of Food」は、引き続きPDF版をご利用いただけます(書籍は完売御礼)。



 また本事例集に関する講演や寄稿のご依頼にも対応しています。講演内容の詳細やこれまでの実績は下記よりご覧いただけます。


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