世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割に続いては、多様化する消費者ニーズに応えて世界に通用する食体験を提供するための3つのステップ「主体的な選択のための情報提供、コンテクストとしての食体験の提供、持続可能な食に向けた取り組みの実践」を紹介します。
多様化する消費者ニーズに応えるステップの一つ目は、「主体的な選択のための情報提供」です。これは第一部で紹介した消費者が食に求める役割の「主体的な選択」ニーズに応える取り組みです。
主体的な選択のための情報提供を実施している食品メーカーの事例にはどのようなものがあるでしょうか? 本記事では、ニチレイフーズの Friendly Dinning と、オタフクソースの有機お好みソースの食品表示を紹介します。
フードピクトとは
フードピクトは、ISO(国際標準化機構)とJIS(日本産業規格)のピクトグラム制作規則と、CUD(カラー・ユニバーサル・デザイン)のガイドラインに準拠し、世界1,500名への理解度・視認性・必要品目の国際調査から開発された食材表示の絵文字です。
観光庁が推奨する情報開示に基づく訪日外国人の食事対応のひとツールとして、アレルギーやベジタリアン、宗教上の理由により食べられないものがあるお客様との、言葉や文化の違いを超えた正確なコミュニケーションを支援しています。
これまでにG7広島サミット(2023)やG20大阪サミット(2019)などの国際会議や、羽田・成田・関西の国際空港をはじめ、全国100社1,600店を超えるホテルや飲食店で利用されています。
商品の特徴をひと目で伝える食品表示
多様化する消費者ニーズに応えて世界に通用する商品を提供するために、ニチレイフーズとオタフクソースは動物性原材料とアルコールを使用しない商品を販売しています。
ヴィーガンやベジタリアン、イスラム教などの宗教による食禁忌に対応できるほか、卵と乳のアレルギーがある消費者が安心して食べられる商品となっています。
商品パッケージにフードピクトを用いて動物性原材料とアルコールを使用していないことを表示し、世界中の消費者が商品の特徴を理解して主体的に選択できるように情報を提供しています。
発売当初は訪日外国人を主なターゲットにしていましたが、社会や環境への意識の高まりに伴い日本人消費者にも人気が広がっています。
日本の食品パッケージのデザインはシズル感を重視する傾向が強いですが、海外では商品の特徴をマークを使って分かりやすく伝えることが一般的になっています。国内市場にも既にある多様性に目を向け、さまざまな人が利用するという前提のもとで、情報の優先順位を考え直してみるのも良いかもしれません。
株式会社フードピクトでは、ガストロノミーツーリズムやインバウンド対応に取り組んでいる観光・宿泊・飲食事業者に向けて、より良い食体験を届けるための事例集を毎年刊行しています。
最新刊の事例集「Inclusive & Regenerative Gastronomy」は、2024年9月に書籍とPDFで販売予定です。書籍は資源保護のため初版100冊のみとなりますので、お早めにご予約・ご購入ください。なお2023年度の事例集「Expolore the Future of Food」は、引き続きPDF版をご利用いただけます(書籍は完売御礼)。
また本事例集に関する講演や寄稿のご依頼にも対応しています。講演内容の詳細やこれまでの実績は下記よりご覧いただけます。
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